分散投資ってズバリなに?
タマゴをわけて管理することだよ
投資の話をしていると「分散投資」という言葉が出てきます。
文字通り「分散」して「投資」する投資手法なのですが、分散して投資すると何かいいことがあるのでしょうか?
分散投資の考え方と種類、メリットやデメリットについてお話しますね。
Contents
分散投資ってなに?
タマゴをわけて管理ってどういうこと?
タマゴをまとめてカゴに入れておくと、カゴを落としたら全部割れちゃうよね?だから、わけて管理するんだ
分散投資は、お金をいくつかにわけて投資することです。
分散投資を表した格言に「タマゴを一つのカゴに盛るな」があります。タマゴを一つのカゴに入れておくと、カゴを落としたら全てのタマゴが割れてしまいます。タマゴを複数のカゴに分けておけば、カゴを一つ落としても全てのタマゴは割れません。
この格言は一点集中で資産を管理することの危険性を表した言葉になるんですね。
カゴを落とさなければいいのよ!
自分で全てコントロールできるわけじゃないから難しいかな
投資金額の全てを一つの商品に投資した場合、その商品が値下がりすれば資産は大きく減ります。投資金額を複数の商品に分けて投資していれば、一つの商品が値下がりしても資産はあまり減りません。
分散投資はリスクを軽減するための投資手法になるんですね。
3つの視点がある分散投資
分散投資って別の商品にわけて投資することなのね
実は商品だけじゃなくて、他にも分散の方法はあるよ
一番わかりやすい分散投資は別の商品を買うことですが、見方を変えると分散投資は他の方法でもできます。3種類の分散投資を紹介しますね。
視点1:商品の分散
マクドナルド株と任天堂株など、別の銘柄を買うことだね
株式がわかりやすいので、株式を用いて説明します。
商品による分散はマクドナルド株と任天堂株など複数の銘柄に投資して、リスクを抑える方法です。全資産でマクドナルド株だけを買うより、マクドナルド株と任天堂株にわけて買ったほうが安全そうですよね。
商品による分散では、投資銘柄をわけることによって資産全体が値下がりするリスクを抑えます。
商品による分散のポイントは、なるべく株価の動きが同じにならない商品に投資することです。マクドナルド株とモスバーガー株、ロッテリア株に分散投資しても、なんだか効果はあまりなさそうですよね。
リスクを抑えるためには、なるべく関係がなさそうな商品同士に投資すると効果が高いですよ。
視点2:資産種類の分散
国内株式や海外債券、不動産などにわけて投資することだね
日本国内の株式だけを何種類も買っても、日本全体の景気が悪くなったら資産が減ってしまいます。
国内だけでなく海外の株式、株式だけでなく債券など資産種類を分散することでリスクを抑えることができます。
特に株式と債券は値動きが逆になるため、リスクを抑える効果が期待できます。
資産種類について、詳しくは「アセットクラス」を読んでね
視点3:時間の分散
まとめて買うんじゃなくて、いくつかに分けて買うことだよ
投資対象が値上がりするか、値下がりするか投資する時点ではわかりません。時間による分散では、投資タイミングをいくつかにわけることで投資対象が高いときに買ってしまうリスクを抑えます。
時間による分散について、詳しくは「ドルコスト平均法」を読んでね
分散投資のメリットとデメリット
分散投資について、なんとなくわかってきたわ
分散投資のメリットとデメリットについてもまとめるね
分散投資が何かわかったところで、メリット・デメリットを整理してみます。
分散投資のメリット3つ
- 商品の分散:資産が一気に値下がりすることがない
- 資産種類の分散:資産が一気に値下がりすることがない
- 時間の分散:商品を平均的な価格で買える
商品、資産の種類を分散することで、資産が一気に値下がりするリスクを減らすことができます。分散投資をしていれば、購入した株式の一つが倒産しても資産全体がゼロになることはありません。
時間による分散により、投資対象が最高値のときに購入金額をすべて使うことがなくなり、平均的な価格で投資対象を購入することができます。
全体的に安定した資産運用ができるようになるよ
分散投資のデメリット3つ
- 商品の分散:資産が一気に値上がりすることがない
- 資産種類の分散:資産が一気に値上がりすることがない
- 時間の分散:商品を最安値でまとめ買いできない
商品、資産種類を分散しているために、一つの商品が値上がりしても資産全体が一気に増えることはありません。他の商品が値下がりして、増えた分を打ち消してしまう恐れもあります。
時間を分散しているため、商品を安いときにまとめ買いして高いときに売ることができず、一気に資産を増やすこともできません。
他にも取引手数料が多くなったり、管理するのが大変になるデメリットがあるね
分散投資の真のメリット:期待リターンを減らさずにリスクだけを下げられる
値動きの違う商品を組み合わせて、リスクを下げるのが分散投資なのね
実は続きがあって、分散投資はリターンを減らさずにリスクだけを下げられるんだ
リターンが減らないでリスクが下がるなんて最高じゃない
たとえば、リターン5%リスク5%の投資対象が10個あるとします。この10個を組み合わせるとリターン5%のままリスクが4%に下がることがあるのです。期待できる収益(リターン)がそのままにブレ幅(リスク)が減るなんて、投資家にとって最高ですよね。
この期待リターンとリスクを利用した分散効果の理論「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」でハリー・マーコウィッツは1990年にノーベル経済学賞を受賞しています。
この理論は複雑で専門家でもキチンと説明するのは難しいので「組み合わせ次第でリターンを下げずにリスクを下げられる」だけ覚えてね
理論に納得がいかない方、細かい内容が知りたい方は「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」をごらんください。
効果的な分散投資をするために
分散投資の効果はわかったけど、効果的に分散するにはどうすればいいの?
相関係数を調べるのと投資対象を増やすことだね
分散投資の効果についてわかったところで、効果的な分散をするためにはどうすればいいでしょうか。ポイントは相関係数と投資対象数です。
相関係数ってなに?
相関係数ってなに?
それぞれの商品がどれだけ同じ値動きをするかの係数だね
相関係数は2つの商品がどれだけ同じ値動きをするかを1から-1の数値で表したものになります。たとえば、マクドナルド株とモスバーガー株は相関係数が高くなりますし、マクドナルド株とロシア国債は相関係数が低くなります。参考程度に相関係数の数値の意味は以下の通りです。
- 相関係数1:同じ値動き
- 相関係数0:関係がない値動き
- 相関係数-1:反対の値動き
相関係数が-1に近い商品を組み合わせることで効果的な分散投資をすることができます。
出典元: モーニングスター
この図は資産種類ごとの相関係数をまとめた表になります。国内債券と先進国株式は数値がマイナスになっているため、分散投資の効果が高いことがわかります。国内債券と国内REITは相関係数が0.71と1に近いため、そこまで分散投資の効果が得られないこともわかりますね。
なるべく相関係数が低くなるように分散するといいよ
投資対象数を増やす
投資信託を使うと楽に投資対象数を増やせるよ
分散投資でのリスク軽減は投資対象数が多ければ多いほど効果的になります。
しかし、大事な自分のお金を投資するため、ただ数を増やせばいいわけではなく投資対象はキチンと調べる必要があります。
たとえば、株式投資であれば1社や2社の企業を調べるのであればキチンと調べられますが、100社や1000社をキチンと調べるのは難しいですよね。仮に1000社をキチンと調べても、すべての会社に投資するためには1社あたり10万円としても1億円かかります。とても分散投資は無理です。
対応策として投資信託を購入してはどうでしょうか。投資信託であれば企業の調査はファンドマネージャーがやってくれますし、多くの企業に少額から分散投資が行えます。
手数料は取られますが、自分で調査、投資するよりずっと現実的ですよ。
まとめ
分散投資のお話でした。
分散投資は資産運用するうえで有効な投資手法になります。
いまから資産運用をはじめる人もすでに資産運用をやっている人も、相関係数を考えた効果的な分散投資と投資信託を利用した時間と資産の節約を考えてみてください。
よりリスクを抑えて安定的なリターンを得られる組み合わせが見つかるかもしれませんよ。