デメリット対策完備!海外ETFのメリット・デメリットを解説
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大塚さん
落合さん
海外のETFは海外の証券取引所に上場してるから国によって税金の扱いが変わるんだ。注意してね
大塚さん
投資信託を上場させた商品であるETFは国内にもありますが、国内でのラインナップはまだ豊富とは言えません。
そこで、ETFの購入を検討する場合は海外の商品も見ることになります。海外のラインナップを見ると、インデックスファンドとほぼ同じ商品内容なのにめちゃくちゃ信託報酬が安くなることもあるんですよね。
落合さん
そうそう。一番安いインデックスファンドと比較しても信託報酬は1/2とかになるんだよね
大塚さん
信託報酬が安くなるってコストが下がるってことでしょ?同じ商品内容でコストが1/2なのは素敵ね
ただ、海外のETFは海外の証券取引所に上場しているので税金面がちょっと複雑だったり、気をつける点が多いです。
今回は海外ETFを使うメリット、デメリット、税金についてお話ししていきますね。
海外ETFのメリット
信託報酬がともかく安い
メリットはランニングコストである信託報酬が下がることです。
世界全体の株式に投資できるバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)と同じ割合で信託報酬の最も安いインデックスファンド(2017/07時点)を組み合わせた場合の信託報酬の差を見てみましょう。
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)の国別割合に関するハッキリとした資料がないため、2012年時点で確認されている比率「日本:先進国:新興国=7.4%:78.8%:13.8%」で計算してみます。
VTの信託報酬は0.11%、最安信託報酬のインデックスファンドを組み合わせた信託報酬は0.2352672%となりました。信託報酬は年間でかかるコストですので、100万円を運用するとVTが1100円、インデックスファンドは2353円かかります。年間1253円のコスト削減ですね。
大塚さん
海外ETFのデメリット
続いて海外ETFのデメリットを見てみましょう。
購入時、売却時に取引手数料がかかる
落合さん
証券会社により異なりますが、購入時と売却時にそれぞれ手数料が発生します。
海外ETFのほとんどを占めるアメリカのETFについて手数料を見てみましょう。
証券会社名 |
売買手数料 |
SBI証券 |
約定代金の0.45% |
マネックス証券 |
約定代金の0.45% |
楽天証券 |
25USドル。1000株以上は追加で1株あたり0.02USドル。 |
すこし分かりづらいですね。100万円分をETFで買った場合の手数料は以下になります。
証券会社名 |
売買手数料 |
SBI証券 |
4500円 |
マネックス証券 |
4500円 |
楽天証券 |
2750円(1USドル=110円で計算) |
100万円分でETFの取引をやる場合、上記手数料が購入時と売却時の2回発生します。
購入時、売却時に為替手数料がかかる
落合さん
海外の証券取引所に上場している商品を買うため、現地の通貨を用意して取引する必要があります。
これも証券会社により異なりますが、購入時と売却時にそれぞれ手数料が発生します。
海外ETFのほとんどを占めるアメリカで為替手数料がどうなるか見てみましょう。
1USドル用意するためにかかる手数料は以下のとおりです。
証券会社名 |
為替手数料 |
SBI証券 |
15銭(SBIネット銀行連携時) |
マネックス証券 |
25銭 |
楽天証券 |
25銭 |
100万円を変える場合、発生する費用は以下のとおりですね(1USドル=110円で計算)
証券会社名 |
為替手数料 |
SBI証券 |
1363円 |
マネックス証券 |
2273円 |
楽天証券 |
2273円 |
100万円分でETFの取引をやる場合、上記手数料が購入時と売却時の2回発生します。
国によって税金の扱いが違い、二重課税されることがある
海外ETFは海外の証券取引所に上場している投資信託ですので、上場している国によって税金のかかり方が違います。
税金は日本国内と同じく売却益と分配金とそれぞれにかかります。各国の税金について見てみましょう。
アメリカ
売却益(アメリカ側) |
なし |
売却益(日本側) |
20.315% |
ETFの売却時はアメリカ側で税金はかかりません。税金は日本にだけ支払うことになります。
分配金(アメリカ側) |
10% |
分配金(日本側) |
20.315% |
ETFからの分配金にかかる税金はアメリカ側で税金がかかった後に日本でさらに税金がかかります。二重課税ですね。
分配金が1000円でると、まずアメリカで10%の100円が取られ、900円になります。
次に900円のうち日本で20.315%にあたる183円が取られ、717円がもらえる分配金になります。
香港
売却益(香港側) |
なし |
売却益(日本側) |
20.315% |
ETFの売却時は香港側で税金はかかりません。税金は日本にだけ支払うことになります。
分配金(香港側) |
なし |
分配金(日本側) |
20.315% |
ETFからの分配金について香港側で税金はかかりません。税金は日本にだけ支払うことになります。
シンガポール
売却益(シンガポール側) |
なし |
売却益(日本側) |
20.315% |
ETFの売却時は香港側で税金はかかりません。税金は日本にだけ支払うことになります。
分配金(シンガポール側) |
なし |
分配金(日本側) |
20.315% |
ETFからの分配金についてシンガポール側で税金はかかりません。税金は日本にだけ支払うことになります。
落合さん
二重課税される国はアメリカだけなんだけど、海外ETFのほとんどはアメリカだから実質海外ETF=二重課税される状態だよ
デメリットの総額サンプル
手数料をまとめてみましょう。100万円での海外ETFをSBI証券で運用した場合、手数料は以下のとおりです。
これとは別に分配金に10%の税金がかかります。
大塚さん
落合さん
さっきの海外ETFと最安インデックスファンドの例だと9年くらいで回収できるかな?
海外ETFデメリットの対策
二重課税は外国税額控除でとりもどせる
外国税額控除は国内と海外で二重課税された場合、税金の一部を取り戻すことができる制度です。
二重課税された金額すべては返ってきませんが、制度を利用することで一部が返ってきます。納めている所得税により取り戻せる割合は違いますが、年収500万円で所得税を15万円程度おさめている場合は30〜40%程度を取り戻せます。
ちなみに「外国税額控除」を利用する場合は確定申告を自分でやる必要があります。確定申告をもとから自分でやっている人は問題ないですが、会社まかせにしていたサラリーマンには手間が増えてしまう点もデメリットですね。
為替手数料を安くする
証券会社によっては海外MMFやFXに入金している資金を利用して、海外ETFを購入することができます。「為替手数料をどれだけ少なくできるか?」の価格競争を各社がやったため、FXは他の商品に比べて異常に為替手数料が安いです。
参考:FXの為替手数料(楽天証券)
決済方法 |
手数料 |
外貨決済(海外MMFや海外ETFで使用) |
25銭 |
FX |
0.3銭 |
100万円を使う場合の為替手数料差額は以下のとおりです(1USドル=110円で計算)
決済方法 |
手数料 |
外貨決済(海外MMFや海外ETFで使用) |
2273円 |
FX |
27円 |
FX口座経由で為替手数料を減らす手順
手順は以下のとおりです。
為替手数料を減らす手順
- FX口座を開設
- FX口座にレバレッジ1倍で入金
- FX口座経由で海外ETFを購入
大塚さん
落合さん
レバレッジはテコの原理だね。レバレッジ1倍は「テコを使わない」ってことだよ
少し仕組みが複雑なので、どうすればいいかだけ説明しますね。
たとえば楽天証券であればFXの取引は1000通貨単位になります。最低1000USドルを日本円と交換できます。
1USドル=110円なら1000通貨×110円で110000円をFX口座に入金し、ドル/円で交換すれば110000円分が為替手数料0.3円でドルになります。
99万円を9000USドルに為替手数料0.3円で交換できます。FXを利用しない場合の1/83の手数料ですね。
大塚さん
落合さん
FXは危ないから、よくわからなかったらスルー推奨だよ
デメリット対策後の総額サンプル
手数料をまとめてみましょう。100万円での海外ETFを運用した場合、手数料は以下のとおりです。
これとは別に分配金に10%の税金がかかりますが、一部は外国税額控除でとり戻せます。
大塚さん
落合さん
まとめ
海外ETFのメリット、デメリットに関するお話でした。
大塚さん
落合さん
そうだね。しかも個人的にはメリットに対してデメリットが大きいかな
個人的には、海外ETFに手を出すよりは地道にインデックスファンドで運用することをオススメします。
海外ETFの信託報酬はたしかに安いですが、最近はインデックスファンドの信託報酬もかなり下がってきており、差はどんどん縮まってきています。
手数料をとり戻すのに数年かかり、二重課税を取り戻すために確定申告が必要となるため、個人的には苦労に見合わない気がしています。
すでに自分で確定申告をやっており、運用資金が数千万円以上ある人は考えてもいい商品かと思いますが、「初心者が気軽に手を出すにはハードルが高い商品」が個人的な結論ですね。